熊本地震復旧 その現実の「一端」。

熊本地震復旧工事は原則地元企業。

 

現在大物の解体が続く熊本市。

その業務に従事するは

原則として熊本県の地場企業と聞いていた。

 

が、熊本の企業と合同で企業を立ち上げ

県外からの業者さんが

多数おいでである事も聞き及んでいた。

 

我が社の近くにもその企業さんがあり

設立の折には丁寧なる挨拶と

「下げ物」まで頂戴した。

 

東北の方であったが

あちらは3.11で大忙しかと思いきや

聞けば

「3年で終わった」

とのこと。

つまり公の資金が3年で出ない、

出にくくなりバタバタと厳しくなったそうな。

そこに昨年の当地での震災。

業界の方はその道のプロであるから

「鼻が効く」。

 

地場との縛りがあるが

当地に公的資金が豊富に流れ込む事は

自明であり

どうにか道を見つけ出すには

さほど時間はかからなかった様子。

その流れは結構多い。

 

が、どうも最近様子がおかしい。

 

まず常勤の人がいない。

先月までは事務方まで

遠方より遥々お越しで常駐であった。

皆さん滅法親切で良い人柄の方ばかりであった。

が、全く姿を見なくなってしまった。

 

それからしばらく後

先月に入った頃から

良くその事務所に人が訪ねて来る様になった。

その方たちは皆さんそれなりにキチッとした

「成り」の方ばかりで

どうもその本業方面の方には見えなかった。

 

で、ある日

その中の一人が私の事務所を訪ねてきた。

突然であったので大層驚いたのだが

やけに丁寧な物言いで

色々尋ねられた。

 

悪いが情報は何も持っていないので

答えるべくもないのだが

「なんすか?」

と思い切って聞いた。

 

するてぇと

当然理由を門外に漏らすは反則であるが

余程困っていたと見える。

「実は」

と続いた話が、

その方たちは取引先さんであり

未収が溜まっていて困窮しているとの事。

訪問するが全く会えない。

「そりゃ大変で」

としか言いようがない。

 

そんなこんなが続いたある日

事務所の大家さんが私の元を訪ねて来た。

様子を聞きたいらしい。

が、話す事は何も持ち合わせていない。

察するに家賃滞納であろう。

 

事務所の方が全くそこにいないわけではない。

それが証拠に一夜明けると

車の駐車位置が変わっている事もある。

 

ある日、たまたま出くわし

聞くともなく聞いた話では

請け負った仕事先の資金がショートして

「かぶった」そうな。

 

そうなると負の連鎖で

金額は次第次第に大きくなる。

何しろ時間が経ちます故、

当然「締め」を何度も跨ぐ事になる。

これからこの手の話が多くなるのであろう。

 

噂によると、

来年から大手の参入があるそうだから。

 

たった一年でこの状況。

 

「どうにか」

の思いで遥々九州までお越しになって

トンデモナイ事態となり

これからの人生が変わる人がいるかと思えば

誠に切ない。

 

今回の震災で「お大尽」になった方も

多いと聞き及ぶ。

しかしその中には今回の様な事態に

立ち至った人たちも多いと思う。

 

被災者も見事に二極化した。

そしてその復旧に当たる業者さんも

同じく二極化しているのであろう。

 

今、世の中は選挙一色。

どのニュースを見ても

新しい政党の話題で持ちきりである。

が、地に目を転じると

 

それこそ

「今何をどう考えて良いのか」

わからぬ人も多い。

 

ニュースから聞こえて来る理想論を聞きながら

見上げた高い空が

誠に切なく虚しく見えるのであるよ。

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