新宿中村屋のカレー

その昔

と言いましても私がガキの頃ですから

相当に昔。


わたしゃ東京と言いましても

随分と下町

いえ

田舎育ちですから

川超えて「東京」に出ることは滅多にない。

ちゅうか、なかった。


まれに行きますと

完全にビジター。


そらそうだ。

何しろ自分のことを

「おいら」

と言っていたのですから。

スカす時だけ「僕」。


で、その頃の大昔。

父は地方の出ですが

大学は東京。

末っ子でして

随分と甘やかされていた様子。

父の同級生から

「お前の親父はなぁ!」

と随分聞かされていたのですよ。


当時は大学生でも学ラン着ていたらしく

その学ラン

父は日本橋はライオンが鎮座ましますデパートで

誂えていたらしい。

野球が好きで野球部に入ったらしいのですが

当然のことながら

大学野球は「好き」で続くものじゃない。

何しろ神宮で勝つのが目標ですから。


速攻ヘタレたらしく

後に隠し持っていたユニホームが出てきて

「なんじゃこら?」

と首を傾げたのであります。

まぁ父にとりましても

「恥ずかしい過去」

だったのでしょう。


そんなヘタレな親父様は

学校行かずに映画演劇鑑賞三昧。

と食い道楽。

よく食べ物についても講釈たれてました。


その一つに新宿は中村屋のカレー。

東口の高野さんの隣ですね。


なんでも父によりますと

中村屋さんの何代か前のご主人が

インドからの留学生をお世話して

その方から製法を聞き世に出したとか。

現代は情報網が尋常ならざるくらいに

発達していますから

ググれば諸説出てきますが

当時は父の言葉を真に受けておりました。


そのカレー

ついに父には一度も食わせてもらえませんでしたが

私が学生のみぎり

付き合っていた家内と行ったのであります。


よく新宿には行っていたのですが

当時から既に外食文化花盛り。

カレーなんぞあらためて食いに行くことは

滅多にない。


学食で

「今日はカレーでいいや」

でありました。


私の学校の学食カレーは

いくつか学食がありましたが

おしなべて

それこそ「小麦粉」に着色した様なもの。

慣れって恐ろしい。

ちゃんとそれで腹が満たされていたのですから。

食器もステンかメラニン。

一度家内をつれて行ったのですが

大変驚かれたのを覚えております。


家内の大学は

今度は私が腰抜かすくらい綺麗で

テーブルクロスつき。

食器もちゃんと落とせば割れる陶器。

おまけにソフトクリームまであるのには驚きました。


話戻して

中村屋のカレー。

行ってみればあまり大きなビルではありませんでした。

確か上階の「民族レストラン」で食べた気がします。


食ってビックリ。

あまりの辛さにシャックリが止まらなくなったのも

良き思い出?

注文間違えたのでしょう。

当時の私の頭にはカレーは1種類しかなかったのですけど

多分数種類あって注文間違いしたのでしょう。


で、またまた話戻して

先日友人と待ち合わせまして

「飯行こうか」

となったのであります。


待ち合わせた場所は新大久保。

「焼肉でも」

と決めたのでありますが

日曜の新大久保は尋常ではない。

と、地方に住んでいる世間知らずな私。


でもなんなんだろう?

あの人だかりは。

新大久保とか五反田、池袋は

どっちかと言えば

ちょいと雑多で得体の知れない楽しい街。

と大昔の人間の頭には刷り込まれていましたが

歩道が狭い分

往年の竹下通りどころではないくらい

若い人で溢れてます。


人多過ぎ。

まともに歩けはしない。

駅舎は昔と変わってませんから

当然さばききれず

もう溢れんばかり。

つか

溢れてます。


で、急遽移動して

新宿で焼肉。


って

店知らないじゃんよ。


で、またまたメニュー変更。

「おっ そうだ中村屋カレーを食おう」


まぁ超久しぶりに来た中村屋は

綺麗になってましたなぁ。

カレーは地下に引っ越してました。


「待ち」の椅子に座り待つ事しばし。


案内されたテーブルで

「とりあえずビール!」

じゃなくて

「とりあえずカレー!」

「カリーですね」

そうそうここではカレーじゃなくてカリー


「お肉は骨つきですからご注意ください」

で一口頬張ると

「あれ?」

辛くない?!

普通にバクバク食えるじゃん。


そう

食レポ風味で書くならば

今や定番本格サラサラカレーの舌触りを残しつつ

昔団地のちゃぶ台を囲んで食したトロミをも感じさせる

老若男女、日本人をして

「おっ 今日はカレーか!」

と言わしめる絶妙なトロミ加減。

辛さは「中辛」。

気取った店ではありませんから

人の目を気にすることなく

バクバクかっ込めます。

量も結構ありまして

これで税込1620円とは

都心でサーブつきにしては良心的ですな。


ひとごこちついた後は

「コーヒー行こうか」

どちらからともなく。

であります。


二人して何気なく足が向くは

「椿屋」珈琲店。


この店

都内各地に展開していますが

これまた大昔

銀座は資生堂さんの道向かいにありました頃からの

独りよがりの「馴染み店」。


大正ロマン風味が気に入ってまして

つか

同じコーヒー飲むのでも

「珈琲」と書かなければいけない雰囲気が好み。

そして

ヘビースモーカーたる友人にとりまして

最後の牙城。

喫煙席があるのであります。

この店につきましてはいずれまた。


と、久しぶりに友人と会食したのでありますが

結果、

いつもと変わりないじゃん。

で、ありました。


それにつきましても

「中村屋のカリー」

会話のネタ増やすためにも

一度お運びになったがよろしいかと。


味の好みはそれぞれなれど

わたしゃ好きですよ。

自身でしか割れない積み重ねの日々はかけがえのないもの。話は多岐に渡ります。