「追い込み講座」に突如現れた青年。彼を通して見る将来は決して暗くない。

先月の27日

一人の青年が突然職場に現れました。

その日はちょうど10月のある本試験に向けての

「追い込み」講座の開講日。

 

「はて?」

話を聞きますと

先月の頭にネットからうちを指定し

講座の申し込みをしていた。

東京の本部がネットを管理していますから

そこからこちらの本校に連絡が行き

8日にお金を払い教材も受け取っていたと。

でも全然連絡がないので

プリントに記載されていた開講日に

出向いて来たとの事。

 

私は受付した覚えもありませんから

同居している本校の担当を捕まえ

尋ねました。

 

本校のPCを叩いてみますと

確かにうちの在校生が一人多い。

さらに調べますと

職員の誰かが受付、失念していた事が判明。

 

慌てました。

なぜなら「追い込み」はかなりタイトで

きついし、

それにある程度勉強してきた人が対象です。

こなし切れない部分もありますから

自宅でネットで学習する箇所もある。

来訪したのが27日で受付が8日。

その間、放ったらかし。

 

うちのやり方は、開講まで時間があるのなら

その間にやるべき事を指示し

本当はいけないのですが

同種の他の講座の教材も勉強してもらっています。

で「追い込み講座に突入」が今まででした。

 

責任の所在云々よりも

とにかく彼を合格まで持っていけるか?

それが一番の心配事なのです。

何しろ時間がない。

そこで彼の現在の実力を知る為に

その場で模試を受けてもらいました。

 

結果は悲観的なものでした。

50点中20点。

 

同じ看板を背負っているのですから

言い訳はできません。

私が頭を下げ

放っておいた期間を詫びました。

かなり短い期間に

実力を上げねばいけませんから

「悪いけど寝る時間を削ってくれる?」

それから頻度の高いテキストを指示し

過去問を渡し

「ここまでやって来て」

 

それから彼は仕事が終わると

律儀にやってきました。

疲れているでしょうに。

 

昨日でしたか

一昨年の本物の試験をやらせたのです。

 

結果は50点中、なんと31点。

その年の合格点は32点。

 

びっくりしました。

本当に寝る時間を削り勉強していたのです。

いや実に愉快。

 

話を聞けば今年公立大学を卒業して就職。

高校はその地では進学校。

でも家があまり裕福ではなかった。

しかし大学は行きたかったので

奨学金をもらいながら

バイトしながらの4年間だったそうです。

 

話していても今時珍しく日本語が通じる。

この講座も自ら望み飛び込んで来た。

独学でやったものの

あまり芳しくなかった由。

どんな講座かも知らないで

「まだ今から開講する講座がある!」

で慌てて申し込んだ。

 

ところが彼の住まいにもネット環境がない。

つまり自宅でやる課題ができない。

では、と言うことは

私の職場で全部やる事になりました。

 

お陰様で昨夜も帰り着いたのは

日付も変わった午前1時。

 

みなさん職場の休みが違いますから

朝から来る人

で、引き続き仕事が終わって来る人。

お相手する相手は私一人。

年ですから体力的に持つかどうか。

でも彼を含め

こんなにまで真面目に取り組んでくれる

若者ばかり。

嬉しくなっちゃいますよね。

 

人口減少が現実の昨今。

この若者たちに我々世代が

年金の世話になる。

気の毒には思いますが

日本の将来も少しは明るい。

そう思わせる出来事であります。

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