太平燕(タイピーエン)の発祥を探る。紅蘭亭の巻。

太平燕はご存知だろうか?

 

ご当地、熊本では

普通の中華料理屋さんで

普通に食べられる

普通のメニューである。

 

当地ではポピュラーであるが

当地を離れると

途端に食する事が困難となる

ラーメンともチャンポンとも違う

ちと変わった麺物である。

何が違うのか?

 

麺が「春雨」である。

 

そう、あの透明な緑豆を原料とした

低カロリーのツルツルした細い麺である。

 

汁は各店舗によって違う。

豚骨スープを薄くしたものか

鶏ガラのそれか

どちらにしてもスープは全部飲み干せる

いや麺が細いだけに

最後まで食するとなると

どうしても飲み干さざるを得ない。

 

まず一般的な太平燕では

揚げた卵を2つに割った断面が

目に飛び込んで来る。

そしてイカとエビはマストである。

 

カンカンに熱した中華鍋に

油を注ぎまずイカとエビを投入。

炒め半ばで

鶏肉、野菜を次に放り込み

更に炒める。

デッカいお玉でカンカン音を出しながら

鍋を揺する度に空いた隙間から

火炎放射器の炎の様なコンロの火が

ゴーッと凄まじい音を立てる。

 

本職と家庭の台所では

この火力が決定的な違いである。

故に家庭では再現出来ないのである。

 

短時間強烈な熱で炒めた所で

スープを入れ攪拌。

そこへ茹でた春雨を投入して

一煮立ち。

そして丼に移し

最後に揚げた卵を2つに割って

黄身が見えるようにトッピング。

 

この工程は全て想像であるが

多分こんな様子なのであろう。

 

当地に来た頃

この不思議な麺は私をして

虜にした。

 

ラーメンの様にしつこくはない。

当地は豚骨ラーメンが絶対多数である。

 

で、ライトな食感ながら

食べ終わると

なぜか満腹感に満たされる

変わった麺物である。

 

所でこの太平燕

日本においては熊本市が発祥とされる。

 

と、言うか

他府県ではチト旗色が悪い様で

発祥から随分経つのに普及はしていない。

不思議である。

美味しいのに。

よって当地熊本市の専売特許と化している。

 

しかし

ご本家のお隣の国にはこの元祖があり

当地のは分家

いやその発展系であろう。

 

で、発祥の店については

当地のいにしえを知る複数の人から

 

「ここが太平燕を初めて作った店ばい」

 

とお店に連れて行ってもらった。

 

「へ〜そうなんですね!」

 

と、さも感心して返す私も相当であるが

連れて行かれた「元祖」だけでも

実は三店舗ある。

 

いずれも「元祖」となっていたが

元々かの国のメニューであり

それ故

華僑系の中華料理屋さんで

元祖を日本の素材で再現したら

似た様なものが出来てしまった。

と言うのが真相ではなかろうか。

 

と、私は推察している。

 

先日その中の1つ「紅蘭亭」に行った。

 

お一人様1750円の5品セットを頼むと

当然の如く太平燕が入っている。

 

久しぶりである。

 

スーパイコ、エビチリ、唐揚げ

太平燕、炒飯

そして杏仁豆腐。

これで1750円はリーズナブルである。

 

で、肝心の太平燕であるが

これがエビの香りが

中途半端に残っていて

魚が苦手な私にとっては

「あれ?」

であった。

 

しかし「若鶏の唐揚げ」。

これは美味かった。

オススメする。

 

えっと何の話だっけ?

元祖でしたね。

まぁこの手の話には

元祖、総本家、等々色々あるもので

まぁ熊本が「元祖」と言う事で。

 

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