マークミンコフ ユリア リプリツカヤ 寝床で見る動画は鉄板ですな。

マークミンコフさんのYou don’t give up

 

を寝床で聴いていたら思いもかけず目が霞んだ。

 

まだ子供が小学生の頃、

スノーピークと言うキャンプ用品会社主催の

スノーピークウェイなる一泊のキャンプの催しがあり、

それは全国各地であるのだが

九州ではその年は熊本の歌瀬キャンプ場であった。

 

朝方道具を積んで、

家内の運転する車で新緑の中、

窓から入る風に髪を嬲られながら

季節が踊っていた。

 

今では懐かしい

ソニーの楕円を立体にしたウォークマンから

聴こえて来るショパンのバラードの20番が

大層気持ち良く、

隣ではしゃぐ子供を眺めながら、

何か満ち足りた気持ちの高揚が

ジワと湧き上がるのを実感したのである。

 

キャンプは楽しかった。

 

どちらかと言うと

冬に誰もいないキャンプをするのが好きだった一家にとって、

この様な大きなイベントに参加しても、

結果悪い印象はなぜか持たなかった。

 

大きな焚き火を参加者で囲み、

主催の会社の職員さんと親しく開発裏話を聞いたり、

他県からわざわざおいでの方と大勢親しくもなれた。

 

その中にはある県のお医者さん一家もいて、

まさかその後6年間も

鹿児島でお付き合いすることになるとは

夢にも思わなかった。

 

それはともかく、

家庭内に於いてはテントの設営から火起こしまで

私が一人でやるのであり、

それなりに父親としての体面も立ち

実に気持ちは満ち足りていた様に思う。

 

それから何年だろう。

 

子供も「子供」と言えぬ年と体格になり、

しかし、思春期には遅いのだがまだ物事を、

人の気持ちをストレートに汲み取れぬ

難しい人間の成長の一過程にある。

 

当然私との会話も少なくなり、

こちらの想いが伝わらぬ

寂しさと哀しさを現在味わっている。

その彼がもうじき居なくなると思えば

余計に辛いのである。

 

そんな気持ちを抱えながら寝床に着き、

スマホに落とした楽曲を聴く。

なぜか今夜はマークミンコフさんの

 

You don’t give up on your love.

 

を選んだ。

 

ミンコフさんは現代音楽の中にあって

感傷的で哀愁漂う曲をお作りになる。

少しpopな面も否めないが、

お気に入りには違いない。

 

この曲はソチオリンピックで

フィギュアのロシア代表の

ユリア リプリツカヤさんが

ショートプログラムの演技曲として選んだものである。

 

彼女の技術は言うに及ばず、

その哀愁漂う表情と

動く芸術作品とも観れる完成度の高い表現力と

それを裏打ちする技術力と天性は私を虜にした。

 

それからもう4年。

事あるごとに私はこの曲を聴く。

しかしこの曲は演技する彼女の表情が同時に浮かび、

慰められるどころか

更に私の立ち位置を哀しくさせるのである。

 

もし私に天性の術が備わっていたとしたら、

この気持ちを表現し

万人に伝えることができるかも知れない。

しかし悲しいかな、

それが叶わぬ凡人は人様が作ったものに

感情移入するしかないのである。

 

良い曲ですよ。一度ご視聴あれ。

 

アイキャッチはユリアさんのVK

Юлия Липницкая • Julia Lipnitskaya

から拝借しています。

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