「帰ってきたヒトラー」は観る者を困惑させる。

「帰ってきたヒトラー」。

 

昨年公開されたドイツ映画です。

この手の話題はドイツではタブーかと思っていましたが

大ヒットしたそうです。

 

原作は ティムール ヴェルメシュさん

これまたベストセラーになったとか。

日本でも売れたそうですが

申し訳ない。

読んでおりません。

 

早速 iTunes で落として観ました。

現在に1945年の陥落寸前のベルリンから

彼がタイムスリップして現在に現れる。

始まりのバックミュージックは

キューブリックさんの

「時計じかけのオレンジ」と一緒。

期待しました。

が、

ドタバタあり、ブラックジョーク散りばめ

コメディタッチかと思いきや

結構深刻な要素も含んでおり

感想ですが

正直、困惑しています。

 

筋書きは書きませんから各自でどうぞ。

 

私はこれを単に娯楽映画としては

観れませんでした。

勿論それは映画の評価なのですが

原作が「売れた」背景にも困惑するのです。

 

ユーロの優等生たるドイツですが

その内幕も垣間見えて来ます。

それは「さりげなさ」を装いつつも

本音として画面に登場します。

 

移民問題

少子高齢化問題

失業率

選挙結果の操作

そして

それに対する国民の本音。

 

これが一番キワドイのです。

彼が言います。

「本音はみんな同じなんだよ」

 

もしそうだとしたら

歴史は繰り返されます。

でも、それを真っ向から否定できない

部分が私の中にもあります。

 

今世界は閉塞感に包まれています。

 

世界情勢の話題は次から次へと変わっていますが

例えばギリシア問題が終わった訳ではありません。

ただ現在の話題が他に移っただけのことで

それに類する問題は思い返しただけでも

結構な数に上ります。

 

それらは解決されず内含されながら

ますます膨らんでいるのです。

 

それらは距離的に、また文化圏が違うから

我が身とは縁遠く感じるだけで

極東に於ける緊張も現実としてあるのです。

 

多分大方の国民が

「まさか」

と考えているのが現在なのです。

 

実際、私が生を受けてこの方

とんでもない事は我が国民には

降りかかっていませんものね。

ブラウン管 液晶を通して

数々の悲劇を目撃してきたにもかかわらずです。

 

そして近年感じる立ち位置がはっきりしない

盤石の基盤を失った様な足元。

そしてヒタヒタと忍びよる未来への不安。

それに拍車をかける閉塞感。

 

これはなんなのでしょうか。

 

その昔

ゲッペルスが言い放った言葉を思い出します。

「我々は強制した覚えはない」

「国民が我々を選んだのだ」

 

国民に自信を持たせ

未来を自身で切り開かせるが如きの

力強く甘い言葉が放たれたとしたら

今の私はすぐに引っかかりそうであります。

正直に申せば。

 

安全神話など世界には存在しません。

微妙なバランスの上に立っているのです。

自国に於いても同様です。

そのバランスを壊して行くのは

我々自身。

内側からそれを壊して行く過程が見て取れます。

 

映画を観た感想であります。

この映画、怖すぎ。

 

アイキャッチは公式HPさんのです。

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