ドイツ映画の思い出をもう一つ。「Uボート」

昨日に引き続きドイツ映画の話を一つ。

確か「クリスチーネF」より封切りは

先だったと記憶していますが

「Uボート」

Das Boot

これも秀逸でした。

監督はウォルフガング・ペーターゼン

珍しくドイツ語読みでクレジットされています。

主演はユルゲン・プロホノフ。

この人が主役で間違い無いとは思いますが、

後にハリウッドでも活躍しています。

「砂の惑星」でしたか。

あの映画は原作を映画化するのは

無理だろうと言われていましたが

それなりに見れた様に記憶しています。

無理だろうと言われていた映画には

キューブリックの

「2001年宇宙の旅」もありました。

あれは本当に随分前になりますが

観てビックリ。

全然意味がわかりませんでしたから。

「宇宙のオデッセイ2001」

原作も読みましたが

余計わからなくなった。

Uボートの話に戻りますが

筋書きは端折ります。

まず出向してすぐに静かな海に潜る潜水艦の様が

「なんて美しいのだろう」

でした。

丸で生き物の様に見えたのです。

クジラ?

頭から静かに鈍角で沈んでいく様子が

白黒に近いタッチで

グランデーションが良く効いたカットでした。

「武器」である潜水艦の動きがとても美しい。

新鮮でした。

あれだけでもこの映画を選んで観て

良かったと思わせるカットでした。

物語は全て潜水艦の中。

狭い艦内だけです。

それも出てくる演者は男性だけ。

その男性陣だけで様々な人間模様を見事に描いています。

艦内が出航してから段々に汚れ

荒れていく様子。

そこには戦争映画にありがちな

華々しさ、勇ましさはありません。

我慢すべき日常を過ごしながら

任務を遂行しなければならない。

とても「地味」です。

実際もそうなんだろうなと感じた次第。

そして特筆すべきは

ヒーローがいなかった。

これもありがちな戦争映画とは違っています。

登場人物がそれぞれの人生を背負って

それが任務に反映される様が

リアルに描かれていました。

艦の中は物理的に思想の制限を受けませんから

2度程レコードがかかり合唱した

Tipperary Song

敵国の歌ですが

これが効果的に使われ

この作品に一層のリアルさを与えていたのです。

楽曲一つで映画の印象が違って来ますね。

ラストシーンはラ・ロシェルにやっとの思いで

帰り着いた彼らを待つ悲劇で終わりますが

特段の盛り上げ方もなく

それも淡々と終わらせたカットは

逆に印象深いものとなったのでした。

日本に入ってくるドイツ映画がそうなのでしょうか。

観終わって考えさせられるものが多い印象です。

ドイツ語の響きは確かに好きではあります。

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