築地市場が初めてのバイト先だった。

わたくしのご幼少のみぎり

 

東京時代の事ですが

志望の高校に受かり中学も卒業し

入学まで時間がありました。

在校時の休みと違い宿題はありませんし

受験から解放され

それはそれは気分爽快でした。

 

そこで初めてのバイト。

生まれて初めて自分でお金を稼ぎました。

 

と、言いましても

まだ中学出たばっかりですから

マトモなバイトではありません。

 

近所に自営の特殊な塗装屋さんがありまして

そこには私より年上の息子さんがいて

私を良く可愛がってくれていました。

彼は高等学院からW大学に在学中。

毎日の様に彼の部屋に遊びに行ってました。

その塗装屋さん

彼の親父さんですね。

「暇だったらついて来んか。」

で、バイト。

 

良く行き来ある家ですし

母もこの時ばかりは

「行ってくればいいじゃない。」

逆に勧めます。

思い返せば、当時は母はまだ東京弁でした。

春休みに入った息子さんも来るとのこと。

ですから

バイトと言う大層なものではないのですよ。

「お荷物」になるガキを

わざわざ気にかけて下さったのですね。

 

みんなで車に乗り

着いた所が

築地。

 

そう、今、豊洲移転で問題になっている

公設市場。

 

初めて入りましたが

もっとも、普通は入れませんけどね。

そら凄かったですよ。

何が凄いって

人の動き、そこら中に溢れる魚

怒鳴りあっている様な会話。

床は勿論

どこもかしこも濡れている印象。

ビショビショって感じ。

凄まじい魚臭。

同じ「威勢の良さ」でも

アメ横とは全然雰囲気が違いました。

 

プロ同士の会話は本音のぶつけ合いで

お客とお店のそれとは丸で違います。

 

市場の仕事がひと段落ついた頃合いを

見計らって作業に入りますが

それまでは「社会科見学」。

 

仕事は屋上に設置された水槽内部の塗装。

 

市場は朝が猛烈早い。

昼過ぎにはひと段落ついています。

が、モタモタしていますと

夕刻辺りから翌朝の魚が入って来ますから

時間制限がかなり厳しい。

何せ「生」のお魚を扱うのですから

水がない事には何も始まりません。

と、言いましても

当然ですが水道は予備回線が

沢山あるのでしょうけど。

 

築地の市場の屋根に上がると

タンクが沢山。

あらかじめ空にしておいたタンクに

潜り込み

始めましたが

想定外の事が沢山発生。

それを臨機応変に対応、

かわして

こなして完成させる。

初めて目の前で見る「本職」の凄さでした。

 

と言いますか

「大人って凄いなぁ。」

「仕事って大変なのね。」

ですね。

それは年食った今でも

我が身で思い知らされてます。

 

ひと段落して場外市場の食堂で

「なんでも注文していいぞ。」

 

と言われましても

私は魚が食べられませんから

注文に思いっきり困ったのも

良き思い出であります。

 

今思えば、あれは公の仕事で

そればかりではなく

普通のお客さんからの依頼もあり

翌日、その「普通」のお客さんの家に

お邪魔したのですが

これもまた別世界でした。

 

アイキャッチは東京都中央卸売市場さんからです。

 

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