ジタン 黒タバコ 憧れた異邦の香り。

現在は「御法度」の話題であることは重々承知です。

思い出話しと共にですからお許し下さい。

学生の頃

よく遊びに行った神父様の部屋がタバコ臭かった。

フランス人です。

タバコ臭いと言っても何かが違っていたのです。

当時は禁煙運動なんてありませんでしたから

町中にタバコ臭がそこらかしこ。

その神父様の部屋のタバコ臭は違っていました。

たぶんそれは

「西欧人の体臭と混ざり合ったもの」

と勝手に解釈。

今思えば随分失礼な事を考えていたものです。

神父様も結構な本数を吸われていました。

東京を離れて数年経った頃。

タバコ専門店で綺麗な箱のタバコを見つけました。

横に平べったく

色はブルー

箱のデザインも素敵。

名前からすると

ジプシーの女性を意味する様ですね。

今はジプシーではなく

「ロマ」

と言わなければならないのでしょうか。

その問題は違う場に譲るとして

思わず買い求めました。

GITANES  ジタン

タバコそのものは短い。

火をつけてそれまで吸っていたものとは

明らかに違う味と香りに

「なんじゃこりゃ?」

でした。

しかしそれが何故かクセになり

度々求める様になったのです。

どこでも売ってあるものではありませんでしたから

ついでの時に買い求める。

普段はいつものものを吸っていたのです。

ある日の事

その匂いにとても懐かしいものを感じたのです。

そう

あの神父様の部屋の匂い。

このタバコは調べたら「黒タバコ」。

発酵させてある様子。

普段吸っているものとは違う製法です。

このタバコ特有の匂いだったのですね。

今、そのジタンを一本。

喫煙コーナーの窓を大きく開け

神父様と東京時代の思い出は

青く広がった今日の空に

煙と共に吸い込まれて行きました。

良き出会いと

良い思い出

決して悪くない青年期だったな。

と。

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